東大二外事情2021
(本文中の画像および数値は、特に注記等ない限り、上記および同財団企画・編集・発行「東大2021」「東大2020」「東大2019」「東大2018」「東大2017」によるものです。)
昨年同様、知らないうちに「東大2022」が発売されていたので、例によってただ単に前年度の東大入学者の選択した初修外国語、所謂「二外」の選択者の数値をただ並べただけの「東大二外事情」を更新することにしました。
過去の記事はこちら。
はじめに
今までと同様に、二外の人数をただエクセルにまとめただけです。
5年分並べると、流石に画像が大きくなり過ぎたので、一部非表示にしています。
たかだか5年くらい並べても、そんなに大きな変化はありませんが、10-20年後くらいには多少価値のある資料になる可能性があるのではないか、と思っています。
また毎年並べていると、同じ年度に入学した日本の同年代の大学生とはいっても、やはり科類ごとに特徴があることは分かってくるので、そういう意味での資料的価値はあるのではないだろうか、という気がします。
上記の書籍に(画像のように)前年度入学者の「二外」の選択者数が掲載されているので、取り敢えずそれをエクセルに入力しています。
時々数式ミスが見つかるので、合計値等はあまり信用しないようにしましょう。
例によって、ドイツ語、ドイ語、フランス語、フラ語、中国語、チャイ語、スペイン語、スぺ語等、略したり略していなかったりが混在していますが、特に意味はありません。この1年間で、フランス語を公用語の1つとしているカメルーンで、フランス語の略称とは別に「フラ語」という言葉が使われている地域があることを知りましたが、本文中に「フラ語」という語が出てきたら、それはフランス語を略したものです。
単年度状況+科類ごとの推移
そんなわけで今年の選択状況です。
同様に科類ごとの推移です。5年分だと画像が大きくなりすぎるので、間を削っています。
文1については、昨年少しだけ回復したドイツ語が、元に戻った感じです。
例年そうなのですが、全科類の中で1番スぺ語比率が低いのが特徴なのかもしれません。他の科類だとスペイン語が1番多いか僅差で2位なのですけど、文1だけ1位と大きく差が開いた3番手が定着しているようです。
勝手な妄想ですが、全体の傾向としては、スペイン語選択者には「世界的に広く使われている言語を習得したい」という人よりは「単位が楽(と聞いている)」という理由でスペイン語を選ぶ人が相対的に多いと思っていますので、文1→法学部の進振りが底抜けしている間は、文1のスペイン語選択者は3番手なのかもしれません。「世界的に広く使われている限度を習得したい」系の東大生は今も昔も三語、四語を駒場で取る人も多いですし。
勿論二外でスぺ語を選択している人で、将来の世界的活躍を目指している人も沢山いることは、よく知っていますので、あくまで傾向としての話です。
文2は、中国語の3割超えがここ2年間続いています。多分定着するのではないかと思っています。
昨年も言及しましたが、今の大学生だと物心ついたころには中国が世界第2位の経済大国となっています。将来的な財界での活躍を視野に入れると、英語、中国語は避けて通れない、という感覚の学生も多いのではないでしょうか。学問的にも英語の重要性が高い分野なので、あまりヨーロッパ系言語を選択する動機がないのも分かります。
ただ法制度から見る限り、ドイツの経済状況の分析等は多分日本にとっても非常に示唆に富むところがあるのではないか、という気もするので、ドイツ語やフランス語の比率がもう少し高まってもいいのでは、という思いもあります。
文3はフランス語が下げ止まったのかな、といったところですが、再びどこかで下げ基調に入るか、代わりにドイツ語が減少基調に入るかしていくような気もします。
5年分並べていて(画像は3年分+αだけど)ようやく気付いたのですが、文科の各類は、1学年当たりの人数は約360-500人と幅があるのですが、男子学生の人数(絶対数)は、各科類でほぼ同じ、というのが少し面白い気付きでした。
理1について、中国語の増加は続くと思います。それに伴って、今後も所謂「頭脳流出」が続くのではないでしょうか。ところで理1では、女子学生の中国語選択者が増えてきています。直近ではフランス語より中国語の方が多くなっています。
同じく中国語選択者数の多い文2が、フランス語より中国語(そしてスペイン語)の状況になっているので(2020年入学者は僅差でフランス語ですが)、理1女子も今後中国語がスペイン語に次ぐ選択言語になるかもしれません。
理2、理3は例年同様、知り合いが少なかったり、絶対数が少なかったりでよく分かりません。
全体の状況と終わりに
例によって全部足すと、よく分からなくなるのですが、全体として基本はもうスペイン語と中国語です。
大学での第二外国語、というと、ある程度以上の年代だとドイツ語、フランス語、なんでしょうけれど、もうスペイン語と中国語です。
地理的なことや日本の経済的地位の低下を考えると、50年以内には英語、中国語までが受験生に必須となって、大学生たるもの三語が学問として学ぶものになる未来も十分あるのではないか、とも思っています。
50年後は恐らく自分は生きていないのでしょうけれど、もしかしたらもっと早く三語時代が来るかもしれませんし、何かしら上手いこと日本経済の相対的地位が維持、向上できるかもしれません。そうしたら、中国語人気も多少変わってくるかもしれません。
来年以降も、気が向いたらまとめます。