猫が来る!

The Cat coming!

東大二外事情2022 ~中国語盛況中学受験妄想~

公益財団法人東京大学新聞社 企画・編集・発行「東大2023 東大等身大」2022年 表紙

(本文中の画像および数値は、特に注記等ない限り、上記および同財団企画・編集・発行「東大2022」「東大2021」「東大2020」「東大2019」「東大2018」「東大2017」によるものです。)

 

はじめに

上記の書籍に以下のように、前年度の東京大学入学者が選択した初修外国語、通称「二外」の選択者数が掲載されています。

「東大2023」P.101

これは、その人数を集計して、あーでもないこーでもない、と勝手な妄想を繰り広げる記事です。

エクセルの集計ミスがないように気を付けてはいますが、合計値はあまり信用しないようにしましょう。

 

過去の記事は以下の通りです。

cr0226.hatenadiary.org

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cr0226.hatenadiary.org

cr0226.hatenadiary.org

単年度の状況+科類ごとの推移

2021年度入学者

文類6か年

理類6か年

取り敢えず単年度と科類ごとの6か年推移です。

昨年は一部削ってみたのですが、今年は6か年全部1つの画像にまとめたので、適宜画像を拡大しないと数値は読み取れません。

 

で、科類ごとを並べてみて、今年ふと思ったのですが、文類の中で最もドイツ語を選択する率の高い文Ⅰでも、理科のどの類よりもドイツ語の選択率が低いということが驚きでした。

自身がドイツ語選択だったので、どうしてもドイツ語中心に見てしまうのですが、理科Ⅰ類でどんどんドイツ語比率が下がっているので、近いうちに理Ⅰよりは文Ⅰの方がドイツ語率が高くなるかもしれませんが、保守本流たる「トーダイブンイチ」の学生ですらドイツ語を選択しないような時代なのが、意外な点でした。

でも理Ⅲは今でもドイツ語選択者がそれなりにいるので、医療、医学の世界ではまだまだドイツ語の威光が残っているのかもしれません。

 

あと目立った点では、文Ⅲフランス語で、女子学生の方が多いという状況になった、ということでしょうか。

この年は文Ⅲ全体に占める女子学生の割合が高かったということもありますが、文Ⅲ男子の他の科類とは異なる傾向も影響しているのかもしれません。

全体の傾向と中学受験の影響妄想

全学6か年推移

全体ではこんな感じです。最早読めないので、総計だけを取り出します。

6か年推移 その2

私が学生だったXX年前と比べると、2016年の時点で中国語選択者が非常に多いな、というところなのですが、一部の科類で異なる傾向はあるにせよ、2018年入学者から中国語の選択者の比率がもう1段高くなった、という点があるように思えます。

なんで?ということに対する勝手な妄想なのですが、中国が世界第2位の経済大国と日本で報道されるようになったのが、2011年1月です。

例えばこんな感じ。

www.nikkei.com

こうした情勢を踏まえて、2012年の私立中学受験を控えた小学生たちは、塾などで「中国のGDPが世界2位」ということを「中学受験での出題可能性の高いテーマ」として繰り返し学んできたんじゃないかな、と勝手に妄想してみました。

2000年代(いわゆるゼロゼロ年代)後半から中国経済の成長に伴って中国語選択者も増加、そして中国が世界第2位の経済大国ということが、中学受験等の影響で当然の感覚となったのが2018年度以後の入学者なのでは、と思いました。2012年に中学1年生となる世代が現役で大学に入学するのが2018年ですから。

そうした点から、卒業後の実利だとか、自己啓発だとか、そういう意識の高い人が中国語を選択する比率が2018年でさらにもう1段高くなったのかな、と勝手に妄想しています。

そうした中学受験等での当然視が2-3年続いて、それ以降はもう自然と中国が世界第2位の経済大国という認識になっている、といったところではないでしょうか。

自分自身は中学受験状況に詳しくないので、全くの的外れかもしれませんが、何となくそんな気がしています。日本各地の産業だとかアメリカの人口のイメージだとかも、その後大きな変化があった場合に、頭では分かっていても、小学生や中学生の頃のイメージが印象に残っているような感じで、中国=経済大国、経済成長、というイメージが強いのではというところです。

 

おまけ

ちなみに、アンケートベースで、母数も不詳なので、正確性は不詳ですが、慶応大学の二外状況はこんな感じみたいです。

text.univ.coop

実学志向が東大より高そうな(偏見)慶應でフランス語が中国語より選択者が多い、というのも何となく意外です。もちろんフランス語も世界的に使用者が多く、使用される場面も多い言語なのですが、慶應がそういう観点でフランス語を選択するのか、というこれまた偏見が。

むしろ、ドイツ語選択者の比率が東大より高いというがさらに意外なのですが、以前どこかで慶應は選択者が多いと、希望の第二外国語を履修できないという話を聞いたことがあるので、そういう制度上の違いも影響しているのかもしれません。

 

そんなこんなで、来年以降も気が向くか、何かこれまでと違う気付きがあったら、まとめます。気が向かなければまとめません。