猫が来る!

The Cat coming!

ドイツ語凋落時代 ~東大二外事情 補足~

cr0226.hatenadiary.org

 

まとめ

---

  • ドイツ語をありがたがっているのは法学系、人文系、医学系だけ。
  • 昔はそれらの学問的地位が高かったので、第二外国語と言えばドイツ語、といったイメージが出来た。
  • 昔は法学系や人文系の研究者が多かったので、それらの人が椅子確保のため働いていた小規模大学ではそもそもスペイン語等の選択が出来なかった。

---

 

今更ながらに上記の記事の補足です。

文2や理1、理2でスペイン語比率が高く、ドイツ語、フランス語の比率が両者を足しても低い。そして文1、文3、理3でドイツ語、フランス語の比率が相対的に高い、ということについての補足となります。(比率は上記記事内で)

 

東大全般としてもドイツ語、フランス語の選択者が少なく、中国語やスペイン語の選択者が多いということで、その理由としては、繰り返しになりますが、単にいわゆる勤め人になってからの実利としての中国語や、学生時代の単位の楽さという実利としてのスペイン語、という側面もあるとは思います。

また、こちらも繰り返しですが、世界的に活躍したい、ということでのスペイン語もあるでしょう。

それと合わせて科類ごとの傾向として、文2、理1、理2で学問的な興味関心がある学生にとって、特段ドイツ語やフランス語を選ぶ積極的な理由がありません。ドイツ語やフランス語に限らず、英語以外の言語を積極的に学ぶ必要性の有無の話といっていいかもしれません。

経済学や経営学の研修者を目指すにあたって、英米語圏というよりアメリカを無視するのは現実的とは思えません。

また将来的には中国の一次情報に触れることも経済学や経営学を学ぶ上で必要になってくる可能性もあります。

理1、理2から進む分野でも、基本英語が出来ればなんとかなる分野が相対的に多いように思えます(偏見かもしれませんが)。

そうした意味からも、なんか面倒くさそうで使用人口も低いドイツ語より、将来的に役立ちそうな中国語や、単位が楽そうに見えたり使用人口も多いスペイン語が選ばれているという点もあるかと思います。

法学の研究者を目指すのであれば、所謂六法なり七法なりと呼ばれる分野については、英語+ドイツ語またはフランス語が必須でしょう。逆に極端な話、英語が出来なくても研究者として大成することは不可能ではないと思われます。

人文系でもフランス語、ドイツ語が必須な場面もまだまだ多いでしょう。

そんなこんなで、文2や理1、理2だと真面目な学生であればこそ、ドイツ語やフランス語を選ばない、ということは十分あり得ると思います。

www.asahi.com

この記事に関して、日本の大学教育における主たる第二外国語がドイツ語からスペイン語に移りつつある、というご意見を拝見したので、改めて法学、人文学(あと医学系)の人が思っているほど、大学教育におけるドイツ語の地位は、少なくともここ最近は高くなかったのでは、という意味で書いてみました。

dot.asahi.com

2019年単年度の話で、かつ採点基準も違うので単純比較はできないと言われつつも、法学(部)というものが、日本の大学生の文系のトップ、というイメージ自体が崩れつつある中で、当然に第二外国語もドイツ語、フランス語、という状況ではなくなっているということの傍証かとも思います。

あと、法学系、人文系の研究者にドイツ語で研究してきた人が多いことで、小規模大学だと第二外国語として選べる言語にスペイン語という選択肢がない(あるいはなかった)、ということもあったかもしれません。

 

なお、私がドイツ語を選択してその後最も役に立ったのは、漫画やアニメのドイツ語系キャラの言っていることの雰囲気が分かることでした。

f:id:cr0226:20200531123101j:plain

ドイツ語の最近の本なんて、我が家にはないので、ドイツ語やフランス語の話題を出しつつ、英語の本を載せておきます。

海外に行った際に購入したのだけど、帰国後紀伊國屋で日本関係の本として2019年最も売れた本として紹介されていて驚いた記憶があります。